研究内容

おおくの動物は、さまざまな感覚情報を外界から取り込み、その情報を脳内で処理し、最終的に目的にかなった行動を選択します。このような行動選択の基本になるのは、脳内の神経回路のはたらきです。私たちは、動物が適切な行動を選び出すための神経回路メカニズムに興味を持っています。

私たちの研究室では、ゼブラフィッシュ稚魚の視覚系をモデルとして、この問題に取り組んでいます。ゼブラフィッシュの脳は、脊椎動物に広く保存された基本構造を持ちますが、他の脊椎動物モデルと比較すると、脳を構成する細胞数が少なく、より単純な神経回路を形成しています。また、ゼブラフィッシュの脳は透明であるため、生きたままの状態で神経活動を可視化したり、光を用いて神経活動を操作したりするのに適しています。さらに、トランスジェニック法、Gal4/UASシステムなどの遺伝学的手法が確立されているため、特定の細胞タイプを再現よく標識することが可能です。私たちの研究は、このようなゼブラフィッシュ稚魚モデルがもつユニークな特徴を最大限に活用し、行動を生み出す神経回路の役割を個々の神経細胞レベルで理解することを目標としています。

これまでに、視覚上の動きのパターンを検出するメカニズムとして、前視蓋(pretectum)の神経回路の機能を明らかにしてきました(Kubo et al., 2014, Kramer et al., 2019)。また、特定の細胞タイプを遺伝学的に標識するツールの開発も行ってきました(Förster et al., 2017)。今後はこれまでに確立した方法論をより複雑な行動の解析に応用していく予定です。

私たちの研究は以下の支援により成り立っています。

国際共同研究加速基金(帰国発展研究)(日本学術振興会: 科学研究費補助金、2018–20年)
日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金(2018年)
内藤記念科学振興財団 内藤記念女性研究者研究助成金(2019-2021年)